会議が終わったあと、ExcelやWordのフォーマットに議事録を清書する作業——やっていませんか?
「会議中はメモして、あとでまとめて共有する」という流れは、一見きちんとしているように見えます。しかし実はそこに落とし穴があります。清書の手間がかかるうえ、後回しにすると記憶が薄れる。書き直すうちに「決定事項」と「宿題」だけが残り、「なぜそうなったか」という経緯が消えていきます。
この記事では、会議後の清書をやめて、リアルタイムで書いたメモをそのまま共有する方法と、その効果についてお伝えします。
清書型議事録の問題点

1. 経緯・温度感が消えてしまう
清書するとき、私たちは無意識に「整理」をしています。決定事項と宿題だけに絞ると、「なぜその結論になったか」「どんな案が没になったか」「誰がどういう懸念を持っていたか」が抜け落ちます。
数ヶ月後に同じ議題が再燃したとき——「なんでこうなったんだっけ?」となる原因の多くは、ここにあります。
「決定事項だけ書くように」と指導を受けた方もいるかもしれません。これは上長への報告や公式文書として残す場合には合理的な考え方です。「読む側が要点だけ知りたい」「余計な発言を記録に残したくない」という文脈では、決定事項のみが正解になります。ただ、実務レベルのプロジェクト管理においては話が変わります。現場で動くメンバーにとっては、決定に至った経緯こそが後の判断材料になるからです。
2. 後回しにすると品質が落ちる
会議直後は他の業務が重なりがちです。「あとでまとめよう」と思うと、記憶が薄れた状態で書くことになり、抜け漏れが増えます。共有が遅れれば、参加者の記憶も一緒に薄れていきます。
3. 清書そのものが業務になってしまう
別フォーマットへの転記作業は、それ自体に時間がかかります。内容を確認しながら書き直す手間は、見えにくいコストです。
リアルタイムメモをそのまま共有するメリット

1. 会話の経緯が丸ごと残る
決定事項だけでなく、「Aという案も検討したがコスト面でBに落ち着いた」という流れが記録されます。これが数ヶ月後・数年後に大きな意味を持ちます。
以前、私が議事録担当ではなかった時期に、担当者から「この件、抜け漏れないですか?」と確認を求められたことがあります。そのとき、自分がリアルタイムで書いていたメモから情報を引き出せました。整った議事録ではなく、雑なメモ書きが組織の記録を補完した場面です。
2. 清書の手間がゼロになる
書きながら共有できる形にしておけば、会議が終わったときには議事メモも完成しています。転記する時間は丸ごとなくなります。
3. 議事録担当でない人も記録に貢献できる
リアルタイムでメモを取る習慣が広がると、担当者一人に記録の負担が集中しなくなります。複数人で補い合える体制につながります。
リアルタイムメモを始めるための実践方法

1. テンプレートの構成を用意する
ツールはなんでも構いません。テキストファイル・Word・Googleドキュメント・Notionなど、普段使い慣れているもので十分です。大切なのはツールよりも「セクションを分けておく」ことです。
以下の構成を参考にしてください。
- 議題・アジェンダ
- 出席者
- 議事録メモ(← ここにリアルタイムで書き込む)
- 決定事項
- 次回までのToDo
2. 「議事録メモ」に書き込み続ける
ポイントは「議事録メモ」セクションの使い方です。ここに、会話の流れ・没案・懸念事項・気になったことをそのまま書き込みます。整った文章にする必要はありません。
「決定事項」セクションは最終的な結論だけ。「議事録メモ」は経緯や議論の跡をそのまま残す場所として使い分けます。
3. 会議が終わったらそのまま共有する
「決定事項」と「次回までのToDo」だけ会議の最後に確認して記入すれば、あとはそのまま共有できます。清書は不要です。
注意点・デメリット

- 雑すぎると後で読めない:自分だけが理解できる略語や省略は避けましょう。共有を前提に、第三者が読んでも意味がわかる書き方を意識します。
- 「議事録メモ」と「決定事項」を混在させない:経緯のメモと結論が同じ箇所に混ざると、後から読みにくくなります。セクションを分けておくのが大切です。
- 全部書く必要はない:雑談や無関係な話まで書く必要はありません。「後で判断の根拠になりそうな発言」を優先して書き留める意識を持つと、量と質のバランスが取れます。
- 「AIの文字起こしでいいのでは?」について:ZoomやTeamsの自動文字起こし機能(発話内容をそのまま記録するAI機能)は便利ですが、全発言がそのまま残るため量が多く、後から必要な箇所を探すのに手間がかかります。リアルタイムメモは書きながら人間が意味を判断して絞り込むため、後から読み返しやすい粒度に整います。用途に応じて使い分けるのが現実的です。
まとめ

会議の記録は、きれいに清書するより、リアルタイムで書いてそのまま共有する方が長く役立ちます。重要なのは「決定事項だけでなく、経緯も残す」という習慣です。
特別なツールを導入する必要はありません。今使っているWordやテキストファイルでも、セクションを分けてリアルタイムに書く習慣さえ身につければ十分です。最初は慣れないかもしれませんが、一度やり始めると「清書していた時間は何だったんだろう」と感じるはずです。
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